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2021/01/29 01:30

みなさんお馴染みのCDCフェザー。cul de canard = 直訳すると、” カモのお尻 ” の短縮であることはご存知のことでしょう。
軽量、高浮力、キャスティング性、しなやか/柔らかでフッキング性にも影響しない等々、ドライフライのエッセンシャル・マテリアルと断言しても良いかと思います。

” カモのお尻” と命名(?)されながらも、実はお尻には生えていないのです。カモ類の水鳥に限らず、鳥類の尾脂腺(羽が水を弾きやすくする油脂を分泌する器官)は、背中のテール寄り、テールの付け根に近い場所にあります。CDCフェザーは、この尾脂腺周辺に生えています。テールに近いので、約 ”お尻” か? でも、背中側にあるのですから、僕的にはお尻とは考えておりません(笑)

CDCフェザーの商品として、店頭に並んでいるものは、殆どがゲージ内で飼育されているカモから採取されたものなのですが、ハンティングされた野生物のフェザーも、Wild Duck CDC として、僅かですが流通しています。飼育物と野生物のフェザーの差は、まずはサイズです。ワイルドの方がふたまわりほど小さい傾向にあります。Wildの中でも、稀にティールダックのCDCも流通することがあります。僕も現物を手にとって見た経験がありませんが、CDC業者の話しに依ると、当然、Wildのマラードダックのものより小さいそうです。
ゲージの中で、毎日高カロリーな餌を与えられている飼育物と、厳しい自然の中で生き延びる環境の差なのでしょうかね。 (素人の推測ですが。) そしてカラーは当然ナチュラルのタン、ダン〜グレーに近いものしかありません。構造的には、ワイルド物の方が、繊細なファイバーに、細やかなフリュー(
バービュール)が密に生えています。 ナチュラルのホワイトカラーは、殆どが家禽飼育されているアヒルのものです。各染色カラーも、このアヒルのものが使われています。そんなことで、ナチュラルホワイトのものは、サイズ的に大きめで揃っているような気がします。

そして、いよいよ、高浮力の理由ですが、
尾脂腺から分泌されたオイル分が過度に多いものは、フライに使っても全く浮力がありません。オイルまみれですから、撥水性には優れますが、フリュー(バービュール)や、ファイバーがオイルで潰れてしまい、水面支持面積が小さくなってしまいます。その結果、フライ重量を支えられず、「即沈」フライになります。


多くのみなさんは、良くご存知でしょうが、ビギナーの方や、ご存知無い方のための、ここで少々ウンチクを垂れてみたいと思います。

ドライフライが水面に浮くか浮かないかは、「フライ自重」と「水面支持面積」が大きく関わっています。スチール製のフックを含むフライの比重は、余程、極端なシンセ材で構成しない限り、” 1 ” 以上ありますので、物理的には、水に浮くことは出来ません。比重1以上のモノでも、浮く例として、1円玉をイメージしてみてください。1円玉はアルミニウムですので、比重は2.7です。直径は2㎝なので面積は3.14平方センチ、重さ1gです。 (ここでは表面の酸化膜計算は除外します)

比重2.7、自重1gあっても、水面支持面積が、3.14平方センチあれば、表面張力を破らずに水面にとどまることが出来ます。ドライフライは、これと全く同じ原理で水面に浮いています。しかし、時間が立ちますと、毛細管現象が働いて水分を含み沈んでしまいます。フロータントは、毛細管現象を遅らせるためのもので、フライに浮力を与えるものではありません。
フライが浮くことに必要な3つ目の要素が、
「 毛細管現象を遅らせる 」ことで、それが、「 水面支持面積をキープする」ことになります。


CDCフェザーの構造も、みなさんご存知のように、細いファイバーに
細やかなフリュー(バービュール)が密生しています。一見、Peacockハールやオストリッチハールと同じような構造です。高浮力の理由は、このフリューバービュール)構造にあります。ストークから生えた多くの細くて柔らかなファイバー、そしてファイバーに密生したフリューバービュール)が、水面支持面積をしっかりと確保して、空気を抱き込みます。軽量であることもプラスに働いて、長時間に渡って、表面張力の上にとどまることが出来るわけです。 もし、尾脂腺オイルでフリューやファイバーが潰れていたら、空気を抱き込むスペースまでなくなります。

もうひとつ、特殊な構造があります。これがCDCの最も偉大な点です。ファイバー、フリューが密集しているのに、毛細管現象を起こし難いのです。
物理的には、隣り合うものが、密で近いほど、毛細管現象が起きやすくなります。
自然の力? 神の力? どちらが凄いのか分かりませんが、水の上で寝るカモ類の水鳥は、毛細管現象で羽や体が濡れてしまっては、凍え死んでしまします。それで、毛細管現象を起こしにくい羽の構造に進化しました。 CDCファザーの密生したフリューは、ピーコックやオストリッチのそれと違って、直線的に並んでいるのではなく、ファイバーの周りに、螺旋状に巻き付くように生えています。この構造のおかげで、毛細管現象が起きにくく、そのスペースに空気を抱き込み、発達した尾脂腺のオイルで外から羽の内部に入り込む水を弾いて体温低下を防いでいます。

CDCフェザーの顕微鏡写真を撮ってみました。フリューの列が、少しずつ螺旋状にファイバーに巻き付いているのが、お分かりいただけるでしょうか?


毛細管現象で濡れてしまったカモの気持ちが知りたい方は、ウェダーのお尻部分に穴をあけてみると良く分かるかと思います(笑)
とてもじゃありませんが、そのまま眠れるようには思えません。

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